銀行は3行以上と付き合っておく。

私は基本的に顧問先(資金調達を必要とする事業者)には、
3行以上の金融機関と関係を持っておくことをオススメしています。
その理由と組み合わせについて。

理由①競争原理を働かせる。

複数の金融機関とお付き合いをする理由のまず一つ目はこれ。
特定の金融機関と長いお付き合いをしている会社ほど、
「これまでお世話になっているから」
とその「メインバンク」に顔を立てて
他行との取引を控える傾向にあります。

そうしておくことで、その「メインバンク」が
自社のために良い条件で融資をしてくれたり、
いざというときに力を貸してくれたり、
ということに期待しておられます。

しかし私の感想としては、正直な話し、
まったくそんなことはありません。

金融機関は「これ以上支援できない」となると、
急に冷たい態度をとるようになりますし、
他に競争相手がないとなると、
利率についても頑張ってくることはありません。

かつての経験で、
その会社の状況から考えるとどう考えても利率が高すぎる会社に
他の金融機関からの融資も考慮に入れることをオススメすると、
利率が半分になったことがあります。

「結局、こっちが何も言わないから、それに甘えていたのか」
とお怒りでした。
まさに、そんな話しです。

通常の取引と同じで、
相見積もりなどを取ることなく一つの取引先に何も考えず任せていると、
気が付くと言い値になって損をしている状態になっていることが多いのです。

たいていの事業者は、
お金をいただきやすいところからいただく、という傾向があるもの。
もちろん、それぞれの誠実さによってマチマチではありますが。

こんなお話しをすると、金融機関から非常に嫌がられるのですが、
金融機関にも競争原理を働かせて、一定の緊張感を与えて、
取引をするようにしましょう。

「メインバンク」は、取引規模の小さい小零細企業について言えば、
それほど重要な観念ではありません。

理由②担当者の能力リスクを回避する。

金融機関は不正防止の観点から、
どうしても担当者がコロコロと入れ替わります。
だいたい2年単位くらいで変わっていくのではないでしょうか。

これ自体はしょうがないことなのですが、
問題はたまに
「とんでもなく能力の低い担当者」
「とんでもなくやる気のない担当者」
「上司の目ばかり気にする担当者」
に遭遇することがある、ということです。

要は、「アホ」な担当者がついてしまうことがある、
ということ。

そしていったん担当になると、
そのアホな担当者が、2年ほどは貼りつくことになってしまいます。
そんな時に、その担当者の所属する金融機関一行だけの取引だと、
そのアホな担当者に付き合わされるしかなくなりますので、
会社の大切な資金調達の場面で、
全く思い通りにならなくなってしまうことがあります。

そこで複数(3行以上)の金融機関と取引をしておくのです。
3行以上あると、その全てがアホな担当者になる、ということは、
まぁ考えにくくなります。

資金調達は事業展開を行うにあたって、
非常に重要な要素となります。
そんなときにアホに付き合わされて事業展開がうまくいかないなどということは、
経営管理上、絶対に避けるべきことかと思うのです。

理由③複数の角度から情報を入れる。

金融機関はそれぞれ特色を持っています。
信金と地方銀行などの違いや、規模感の違い、
地域によっても毛色が多少異なります。
それぞれ得手不得手ももちろんあります。

ですので3行との取引をするにしても、例えば
「地方銀行3行」とするのではなく、そこに
信用金庫などを組み合わせます。

すると金融機関との取引に多様性が生まれ、
金融機関を通じてそれぞれから違った角度の情報が入ったり、
依頼する内容ごとに、金融機関をわける、
ということもできるようになります。

ただその中でも、
小零細企業は都市銀行とのお付き合いは
基本不要だと考えます。
相手方もこちらを重要視してきませんし、
会社の状況が悪くなったときには、真っ先に手を引いてくるイメージがあります。
もちろん担当者と支店長次第、というところがありますけどね。

ただ、やはりその傾向は強いかと思いますので、
「地方銀行1行と信用金庫2行」とか
「主たる地域の異なる地方銀行2行と信用金庫」とか
そういった組み合わせがいいんじゃないかと思うのです。

ここに、日本政策金融公庫や商工中金などの
政府系を組み込むとベストでしょう。

資金調達は、企業の経営維持や経営発展にとって
必須と言ってもよいほど重要なものです。
上記には私の私見が大いに含まれておりますが、
いろいろな情報を得て、
ぜひ「上手な」金融機関とのお付き合いをしていただけたらと思います。

タイトルとURLをコピーしました