これまでいろんな会社の多くの経営計画を見てきました。
20年前と比べて、経営計画を策定する会社が増えましたが、今でも
「なぜそれだけの売上があがるの?」ということが
はっきりわかるものは少ないのが現状です。
しかし経営「計画」である以上、その根拠と具体性があってこそ、
それははじめて計画として機能します。
経営計画の目的は?
まず、経営計画の目的はなんでしょうか?
もちろんそれは、会社の存在理由を実現することでしょうから、
最終的には、
「〇〇で社会に貢献するため」とか、
「社員が豊かな人生を歩むため」
といったことになるでしょう。
しかし事業を通してそれを実現するには、
収益が必要です。
商品・サービスを提供することを通して、
収益と利益が確保できるからこそ
これらの理念が継続的に実現できるのです。
だからこそ事業の目的はドラッカーの言うところの
「顧客の創造」であって、
経営計画の目的は
「顧客を創造していかに利益を生み出して、それを通していかに理念の実現に近づけるか」
ということになるだろうと思うのです。
・どのように社内の環境を整えるのか、
・社内的にどのような基本方針を定めるのか、
・どのように社員さんに報いるのか、
・どんな損益計画を考えているのか。
これらのことを記載している経営計画はたくさんありますが、
じゃあ、その損益計画を実現するために、
具体的にどんな活動をどれだけ行えばそれが実現するのか、
その根拠を示せているものは案外少ないのです。
「こんなことを、これだけ行えば、この数字は達成できる!」
というものがなければ、
結局社員さんはどのように動けばいいのかわかりませんし、
それでいて売上の目標があると、数字が独り歩きをして、
売上目標がノルマ化してしまいます。
または、
「計画を立てているけれども、達成できなかったね、チャンチャン」で終わる、
計画として無意味な状態になってしまうのです。
計画の目的が顧客の創造である限り、
それをどのように達成するのかという根拠は
絶対に必要なのです。
予実対比を行って、今後の行動を補正する
綿密かつ具体的な経営計画を立てても、
それが必ずしもそのまま達成されるとは限りません。
あくまで計画は、
これまでの実績・経験と環境分析を元にした
「仮説」の域を越えませんから、
どれだけ計画通りに行動遂行していても、
数字がついてこないことは普通にあります。
問題はその乖離が生じた場合にどう行動するか。
計画を立てたものの、そのまま計画が放置されているのは論外として、
ちゃんと予実対比を行って、計画との乖離を認識できたとしても、
そのまま「ダメだねー」で終わってしまっているケースもあります。
何もしなくてもちゃんと売上が
計画通りあがっているのであればまだ良しとして、
そうでないのであれば、それは、
当初計画のままの行動ではその目標数値を達成できないということです。
ですから計画を下回っている事実を受けて、
なぜ今の行動ではだめだったのか、
そして今後どのようにそれを変えていくのか、
ということを決定して実行していくことが必須です。
ただ「行動量を増やす」ばかりが能ではない。
さてそれでは目標数値を下回ってきたときに、
今後の行動変化をどのように設定するか、というところですが、
「これまで100回やって80%しか達成しなかったんだから、125回やろう!」
というのでは、
あまりに芸がありません。
売上目標を達成しようとするにあたって、
「これが目標だ!頑張って達成するぞ!!」
みたいな根性論ではなく、
「こうすれば、こうなる。だから達成できる」
とロジカル思考で達成していくのが計画策定の意味ですから、
ただ「量」を増やして力業で解決しようとするのは、
根性論よりはずいぶんマシとは言え、
結果似たようなものです。
量を増やすこと自体がそれほど手間にならないものでしたらそれもありですが、
投入量に比例して労力が増える行動をどんどん増やしていくことは
非効率でしかありません。
ですから、
「これまで100回やって80%だったけれど、なんでこんなことになったのだろう?」
とその質の部分を問うてみたり、
「同じ100回でももっとこうすれば成果があがるんじゃないの?」
という手段の部分を問うてみたりすることが、
まずは優先だろうと思うのです。
例えば非常にシンプルな例としては、
来客数を増やすためにinstagramの投稿数の目標を定めたとして、
来客数目標達成できなかったときに、
「じゃあもっと投稿しよう」
ではなく、
「こんな人たちに刺さる投稿内容にしよう」
という議論をする必要があるということですね。
計画を策定するのも、
決して楽なものではなかったはず。
せっかく時間をかけて作ったものですから、
作るだけ作ってもその後それが効果を発揮しないようでは
極めてもったいないこと。
最大限経営計画を活かすことを、
ぜひ考えていただけたらと思います。