「強みをのばす」というのは、よく耳にする話しです。
でも、それができているかと考えると、意外と実践できていないことでもあります。
改めて、なぜ強みを伸ばすことがそれほどまでに実践しがたいのか、その辺を考えてみました。
なぜ強みを伸ばさないといけないのか
企業はどんな規模の会社でも、
それぞれの市場において競争にさらされています。
「私は競争しているつもりはない」
といっても、必然的にその中に身を置いているのですからしょうがないですね。
だからこそ、その中で抜きんでた存在でないと、
お客さんはものを買ってくれないわけです。
でも、小零細企業って、
「抜きんでる」ことって難しいですよね。
だからこそ、人のやっていない世界でとんがる必要があります。
そのために、強みを伸ばしていくのです。
自社がほかに比べてより強い部分はどこなのか。
競争にさらされているわけですから、
弱い部分でお客さんに選んでもらえることはないはずです。
逆に強みでない部分で選んでもらっても、
それは非常に申し訳ない状態です。
結果お客様も不満足だし、それによって自社もストレスフル。
これでは「売り手よし、買い手よし」の正反対の状態です。
それではなぜ、こんなにも大切なのになぜ実行できないのか。
大きく分けて次の3つ理由があるように思います。
1.強みがわからない
「自分の強みがわからない」と悩んでいらっしゃるかた、心配はいりません。
強みは自分ではわかりません。
なぜわからないのか。それは
「自分には当たり前にできていること」
だからです。
かのドラッカーですら言っています。
強みは自分にはわからない、と。
どれだけ努力して、長い時間かけて身に着けた技術・能力でも
一度身につけたものは当たり前にできてしまうので、日がたつにつれ、
「こんなこと誰でもできることなのでは?」
と考えてしまうのです。
だからこそ、自分で
「これは自分の強みなのだ」
とあえて認識しようとしないと、そうは思えないのです。
それでは自分でもわからない強みは、いかにして見つければいいのか。
人に教えてもらう。これにつきます。
自社と付き合いの長いお客さん、満足度の高いお客さんに聞いてみましょう。
「なぜ当社を選んでいただいたのですか」
「よそと比べてどのような点を評価してくださっているのですか」
これができていない会社がほとんでです。
お客さんの言っていることが正しいとは限りません。
ただ真実もそこにしか落ちていないと思います。
それを正しく取捨選択していきましょう。
2.弱みが気になってしまう
これもしょうがないですね。
人間、自分の弱い部分にはとても目が行きがちです。
そしてそれによってお客さんに迷惑をかけているかもしれない、
という思いにもかられます。
しかし、弱みが気になるもっとも大きい理由は、
「他社がやっている(できている)から自社もやらないと(できないと)」
という焦りでしょう。
他社ではこんなことができている。自社ではそんな能力がない。
だから不安になってしまうのです。
しかし企業でも個人でも、
弱みの向こう側には「苦手」という気持ちが貼りついています。
苦手なものを伸ばそうとしても伸びるわけがない。
苦しいだけです。
結果競争相手よりその部分で勝ることはできません。
それならば、やらないことです。そこで勝負をしないことです。
はっきり言って時間の無駄です。
しかし、それを身につけておかねばお客さんに迷惑がかかる、という部分は
最低限のレベルにはしておきましょうね。
3.強みを伸ばすより、数をふやしてしまう
周囲の同業他社や経営者の取り組みを見ていると、
「自分もそんなことがやってみたいなぁ」
と思うことはよくあります。
他人のやっていることが、妙に楽しそうにきらびやかに儲かるように見えてしまうのです。
最初に断言しますが、それはほぼ
「隣の芝が青く見えている」
だけです。
実際にやってみると当然そんなに甘い話しではないですし、
皆さんよく勘違いされるのは、
「青い芝」は青く美しい芝を維持するために相応の努力を続けている結果として
「美しい芝」として見えるのです。
はたから見て
「ちょっと楽しそうだからやってみよう」
くらいの覚悟で初めても、決してうまくはいきません。
こうやって事業の数を増やしてしまったり、
他にも社内でやらなければならない取り組みがたくさんあるにもかかわらず
新しいことに取り組んでみたりすると、
結局、今やっている本来やらなければいけない事業や取り組みが
おろそかになったり、注ぐ力が薄まったりして、
事業として薄っぺらいものが出来上がってしまいます。
しっかりと自分の強みを見据えて
一つ事業を定めたならば、
そして、その事業の方向性自体に誤りがないのであれば、
まずはとことんその事業を深めていきましょう。
それが本当にあなたの強みの上に築かれているものであるならば、
その継続によりその事業は他社がマネしえない
独自性の強いものへと成長していくはずです。