弱みにフォーカスする人をマネージャーにしてはいけない。

経営を考えるとき、「弱み」を正しく認識している必要があります。
しかし経営者やリーダーは、「弱み」にフォーカスしてばかりいてはいけません。

薄毛にフォーカスしない。

確かに、強みよりも弱みの方が見えやすい。

ピーター・ドラッカーは、その著書で言ってます。
「強みよりも弱みに目を向ける者をマネージャーに任命してはならない」

みなさんは自社や自身の強みや弱みについて、
どれほど正しく理解をし、どの程度深く向き合っているでしょうか?

「うちの会社に強みなんてないよ」
とか
「私のできることなんて、誰にでもできることだし・・」
という声をよく耳にします。

しかし、本当にそうでしょうか?
それはちょっと奥ゆかしすぎるんじゃないかと思います。

会社にしても個人にしても、
自分のできることは、
たとえそれが多大な努力の結果として身についたものであったとしても、
一度それをできるようになってしまうと、
それは自分にとっては「当たり前にできること」
になってしまいます。

当たり前にできるようになると、難しいことではなくなってしまいますから、
なんだか誰にでもできることであるかのように思えてきます。
結果として、それが強みであるようには感じられません。

だからこそ「自分の強みは何だろう?」という部分と
客観的に向き合う必要があります。
人間誰しも、自分のことは自分が一番よくわかっているようでいて、
一番よくわかっていません。
どこまで行っても、永遠に「客観」にはなれませんから。

だからこそ自社や自分の強みについては、
強くそこにフォーカスする意識を持たないといけませんし、
自分ではわからないからこそ、積極的に他人に聞いてみる、
という姿勢を持たなければいけません。

たまに全く客観視できていないにも関わらず、
変に自信を持っていて、前のめりな人もいてますが、
これはこれで危険です。
それは単なる過信であって、勘違いですから。

そんな意味でも、やはり「人は自分を(または自社を)どうみているのか」
という客観的視点は大切です。

自社の弱みにフォーカスしない。

たいがいの人は、自身や自社の弱みばかり目に映るものですから、
どうしても強みよりも弱みにフォーカスしてしまいます。

もちろん自身の弱みを的確に認識し、
それに対して手を打つことも大切です。

しかし事業は自社の商品・サービスを顧客に提供することで初めて成立します。
顧客がよその会社ではなく、自社の商品を選んでくれることによって、
事業は存続できるのです。

ドラッカーが、
「事業の目的は、顧客の創造である」
としている所以です。

そして顧客が自社の商品・サービスを選ぶ理由というものは、
その会社の強みによって生まれるものであって、
弱みから生まれるものではありません。

会社の魅力は、その強みから生み出されるものであり、
会社の独自性は強みからしか生まれませんから、
会社は、強みでしか勝負できないのです。

強みではなく、弱みにしかフォーカスできなければ、
確かにより欠点の少ない会社にはなっていくかもしれませんが、
顧客から選ばれる会社にはなっていきません。

ですから、経営者は、
「うちにはこれが足りない」と
マイナスの部分ばかりに光を当てる人ではなく、
自社の強みにフォーカスし、
その強みをより強く輝かせる思考のできる人でなければいけないのです。

そして弱みについては、
それを放置しておくと大きな問題につながるものを除き、
そのまま放置しておくことが一番です。

社員の弱みにフォーカスしない

「弱みにフォーカスしない」というのは、
組織における「人」についても、
同様のことが言えます。

経営者も含めて、ほかの社員さんをマネージメントする立場になった人は、
どうしてもその人の弱みが気になってしまいます。

経営者やリーダーの立場になった人は、
やはり優秀だからこそ、その地位にいるわけで、
そんな人から見ると、自分のできることが出来ない、
そんな部分ばかりが目についてしまうのです。

そして、その出来てない部分の改善ばかり指摘してしまいます。

しかし、組織はたとえ小零細企業であったとしても
複数の人で組織されている限り、
その人それぞれの強みを結集させるのが基本です。

小零細企業の多くの経営者は、
弱みを消すことに夢中になってその人の強みを伸ばさなかったり、
本来その人が強みを発揮できる場面とは異なる仕事を与えたり、
そもそも全員均一の業務をさせてしまったり、
してしまっているように思います。

ただそれでは、組織の力は削がれ、
チームのモチベーションもあがってきません。
誰だって苦手なことやできないことをやり続けるのはイヤですし、
それを指摘され続けるのはもっとイヤですよね。

だから、弱みにフォーカスする人はマネージャーになってはいかんと、
ドラッカーは言っているのです。

組織のマネージャーの仕事は、
「人を通して成果をあげる」ことです。
そのためにはその人それぞれの強みを見抜き
それをどのように組み合わせて組織の力を最大限引き出すのか、
ということを考える必要があります。
そんな意味で、
人の欠点にばかり目が行く人はマネージャーに向いていません。

ただし、欠点や弱みにフォーカスしないといっても、
あまりに業務に支障をきたすレベルで苦手であるのは問題です。
ただこれを80点にする必要はありません。
20点のものは60点にまで引き上げ、
80点のものを限りなく100点に近づける。
そしてこの100点に近い部分を束にして
組織を作り上げることができれば理想ですよね。

小零細企業は、人的資源も限られていますから、
上記のような状態を作り上げるのは、夢物語かもしれません。
しかしだからといってそれを完全に諦めるのではなく、
ほんの少しでもその状態に近づける努力をしましょう。
その積み重ねが、
組織を今より少しでもよい組織に変えてくれるのだと思います。

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