経営者にとって、数字は大切。当然ですが。

経営者にとって、数字はとても大切です。
売上とか利益とかいうレベルだけでなく、あらゆる場面で。

たまにzoomの背景につかっている、コクピット写真。

数字を大切にする

小零細企業の経営者の中に、たまに、
あまり数字を大切にされない方がおられます。

たまに、というか、結構おられます。

およその売上金額を尋ねても答えられないとか、
どれほどの利益が出ているのか把握していないとか
事業の数字をまとめるのは、確定申告の直前に一回だけとか。

自分の事業の数字がもうちょっと気にならないものかと
不思議に思ってしまいます。

かの渋沢栄一が言っています。
「企業家にとって第一に心すべきことは、数の観念である」

「数」というものにもっと興味をもち、
それを深めていただきたいと、いつも思っています。

現金商売をされてる方は、
まず日々の出納帳をつけることからスタートです。
毎日の現金を管理することが大切。

その日、残高がいくらから始まり、
いくら支出があって、
いくら残ったのか。
面倒に思われるかもしれませんが、これくらいのことはやりましょう。

毎日やれば、
一日ほんの10分ほどのことだと思います。

これをちゃんとつけていなければ極端な話し、
毎日少しずつ売り上げの一部が盗まれているとしても
気が付かないのです。
あとで経理をしたときに、
「あれ?なんでこんなに現金があまる会計になるんだろう?」
ということになって、
ただその原因はわからずじまいです。

数は嘘をつかない

経営を行うにあたって、なぜ数字を大切にしなければならないかというと、
その理由の一つは、
「数は嘘をつかない」
ということです。

財務諸表など、数字によって求められる経営の結果は、
その計算過程に間違いがない限り、
絶対にウソをつきません。

経営数値がない状態で経営するのは、
「勘と感覚と惰性」だけで経営を行っているということになります。

もちろん経験に基づく勘や感覚というものは、
素早い経営判断に欠かせないものではありますが、
その精度には難があります。

勘と感覚は、嘘をつくのです。

何年も前の話しですが、顧問先に
「取引先ごとの売上の年計グラフを作ってみましょう」
と提案したことがあります。

年計グラフの詳細説明は割愛いたしますが、
どの取引先に対して売り上げがどのような傾向にあるかなどといったことが一目でわかる、
優れものです。

その顧問先の経営者は、
相当「数値」に対して意識をもっておられた方でしたが、
実際年計グラフを作ってみて、
自身の感覚とのズレに驚かれました。

「この取引先は順調だ」と思っていたところが
実はズルズルと減少していたり逆に、
「この取引先は重要ではない」と思っていたところが
着実に貢献していたり。

こんなことも、ちゃんと数字に表すからこそわかることです。

確かに手間なことは間違いないですが、
ポイントを絞ってでも、
数値で管理することで見えてくることがたくさんあります。

そしてこれまで見えなかったことが見えてくることで、
違った経営判断ができるようになるのです。

数は具体的である

経営上、数字を大切にしなければならない理由の二つ目は、
「数値は具体的である」
ということです。

感覚でとらえているものは、
「だいたいこんな感じ」
というとらえ方になってしまいますが、
数値は極めて具体的です。

これも正しく計算されていることが前提にはなりますが、
出てきた数値はそれ以上でもそれ以下でもありません。
それが実態そのものなのです。

この「数値のもつ具体性」に、
経営のいろんなものを数値で管理することの意味があります。

経営上管理すべきものを可能な限り数値に落とし込むことで、
その計画と成果が極めて具体的なものとして表現されます。

例えばですが、計画で
「既存顧客の会社を積極的に訪問する」ではなく、
「毎月〇件訪問する」と決める、
ということですね。

数値が入っていない計画は、
「積極的に」といってもそれは極めて主観的なものですし、
その結果測定もできません。
「頑張りました!」という結果にしかならず、
どの程度頑張ったのかもよくわかりません。

数値で表現されるとこの意味合いが全く変わります。
「〇件」と計画したうえで、
実際の行動としては何件の訪問ができたのか。
それによってどのような成果があがったのか、
ということが測定・評価できるようになります。

そもそも計画件数の訪問ができていないのであれば、
なぜそれができなかったのか、
どうすればできるようになるのか。

計画通りの件数訪問したとしても、
結果として計画通りの売上に達しなかった場合には、
二つの側面から考えることになります。
まずは、その件数設定が正しかったのか。
もう一つは一回一回の訪問の精度・質を高めることができないか、
ということですね。

このように数値で表現することで
経営計画とその実行管理が極めて具体的なものになります。

一見数値で表現しがたいようなものでも、
数値にすることは可能な場合が多いものです。
これまでの計画が曖昧模糊だった方はぜひ、
その一つ一つを具体的な数値として表現し、
具体的な行動計画にまで落とし込んでいただければと思います。

経営において数字は、
飛行機の計器に例えられます。
飛行機のコクピットには非常に多くの計器類がありますが、
その全てが必要なものだからこそ、そこにあるのです。

そしてその計器の示す数値の異常を見落とすと、
飛行機が落ちてしまう可能性があります。

経営が墜落してしまうことのないよう、
ぜひ数値で表現し、その重要な変化・動きを見落とさないよう
心がけていただけたらと思います。

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