2022年税制改正大綱がでました。

先日、2022年の税制改正大綱が出ました。小零細企業に関わる部分だけ、大まかに解説しつつ私の思うところを。

日本経済新聞に載っていた、要旨。

住宅ローン控除

とにかく住宅借入の金利が下がってしまったので、
これまで借入残高の1%だったローン控除では
利子額よりローン控除額の方が多くなるということで、
借入残高の0.7%に改正されました。
そして対象となる借入の限度額を
4000万から3000万まで引き下げました。

控除率の引き下げはともかく、
借入の限度額を下げるのは正解でしょうね。
そもそもローン控除は
いわゆる「中間層」が住宅を購入しやすくするためのものですので、
この範疇の人は4000万ものローンを組みません。
それはもはや富裕層ですよね。
そして本当の富裕層は
ローン組まずにキャッシュで払ってしまいますから。

中古住宅もローン控除はありますが、
新築よりも控除額は少なめです。
人口減少してる日本に、これ以上に新築必要か?とも思いますが、
これについては話しが長くなりそうですのでまた別の機会に。

賃上げを促す措置

継続雇用者の給与等支給額が3%以上増加した場合に、増加額の15%を、
4%以上増加した場合には増加額の25%を
税額控除するというものです。

大企業は内部留保をため込むばかりで、
なかなか人件費をあげていかないものですから、
税制の方向性から賃上げ促進する形で誘導していかないと
国民の給料があがらない!
ということですよね。

そもそも景気拡大に向けた政策を行って
これを実現していくことを同時にやっていかないことには
給与だけ上がっても企業の競争力が落ちてしまうだけなので、
国にはそれをもっとちゃんとやっていただきたいところです。

ちなみにこの制度は「税額控除」ですので、
利益の出ていない会社には関係がありません。
つまり小零細企業の7割以上には関係のない話しです。

少額減価償却資産の延長

現在、本来減価償却として経費になる資産であっても、
30万円未満のものについては全額、
その事業年度の経費に落としていいことになっています。

一般の方はご存じない方も多いかもしれませが、
この法律は「租税特別措置法」、つまり期間制限のある法律です。
これが2年間延長されました。
これが延長せず打ち切られると、本来の線引きである
「10万円未満」
でないと一括で経費にできなくなります(減価償却になります)。

今は延長が繰り返されていますが、
景気が良くなったときにはさっさと打ち切られる気がします。

なお、主要な事業でない貸し付け用資産は除外されましたので、
今後ドローン節税は使えなくなります。
10万円未満のもので構成するというすり抜けをしてくることも考えられますが。

インボイス制度

令和5年から実行され、相当な方面に影響を与えるだろうこの制度、
いろんなところから延長の要請が出ていたようですが、
延長に関しては議題にもあがらなかったとのこと。

本来の消費税の仕組みを考えると、そりゃ当然な制度ですが、
とにかく経理に携わる人たちの業務が煩雑になるので
やめて欲しいところです。

領収書の読み取り精度が上がるとか、
もっと電子化が進んでから導入いただきたいのが本音です。

税理士に電子化を進める努力義務規定が。

税理士が業務電子化を通じて、
納税者(つまりお客さま)の利便性や業務改善をはかるよう努める
規定が設けられました。

これまでもできる部分はやってきていますが、
これは言われずともさらに頑張っていきたいな、と思うところです。
でもその前に、税務署とのやり取りが電話しかないとかいうのを
やめていただきたい・・。

電子帳簿保存義務化の実質延長

・紙で受け取った請求書・領収書等の資料は紙のまま保存
・データで受け取った請求書・領収書はデータで保存して
 検索できやすいよう整理しておく
という内容で2022年1月から進められるはずでしたが、
これについて
「やむを得ない事情がある場合」
には2024年1月からでいいよ、ということになりました。

「やむを得ない事情」というのは非常にふわっとしてますし、
「パソコンのことよくわからへんから、そんなんできへん」
というのもやむを得ない事情であると考えると、
事実上2年延長です。

電子帳簿は本来からすると
業務の利便性を高めるためのものであるのですが、
その仕組みが中途半端な現状で電子帳簿だけを推し進めるのは、
税務署サイドの利便性を高めているだけなので、
正直これは悪法だと思っています。

電子帳簿・請求書領収書の電子化や、
領収書発行などの機械化(手書きをしない、ということ)を
推し進める補助金とかをもっと拡充する方が先かなとも思います。

領収書の手書きがなくなれば、
ほぼ機械で読み取りできるようになりますから、
インボイス制度にも一役買ってくれるかと思うのですが。

あと、紙のものは紙保存とかいうのも
なんとかしてほしいですね。
請求書も領収書も、どんどんスマホで写真をとればPDF化されて、
自動で仕訳までしてくれるようになって、
その保存はそのPDFのままでいいよ、
という形になれば、紙がどっさり溜まるということもなくなって、
とてもいいことだと思うのですが。
まぁそうすると改ざんがいっぱい出てくることが心配なんでしょうね。

贈与の110万非課税枠はそのまま

現在贈与税の非課税枠として年間110万円設定されており、
これを活用した相続税の節税を封じるため
なんらかの策が講じられるものと考えられていましたが、
今回はスルーとなりました。
これはちょっと安心しました。

雑誌とかでは不確実な情報を垂れ流して
いろいろ煽っていましたが、
ちゃんとした新聞やニュースには情報が
全くと言っていいほど流れて来ませんでしたから、
そうなるんじゃないかなとは思ってましたが。

でもいずれ近いうちに
何らかのフタをしてくることになると思いますので、
できることは早めにやっておく、というのが得策ですね。

以上、私の独断と偏見によるピックアップと、私の見解でした。
なんだか国の方針がわかるけれども中途半端感が残る、
小粒な改正大綱だな、という感想です。

タイトルとURLをコピーしました