基本的に、ある程度満たされて、足りないものがない現代においては、
商品・サービスは、平均点の高さよりも、
たった一人に思い切り刺さるものが求められます。
尖ることは、怖い。
「ターゲットを絞りましょう」という話しはよく聞くだろうと思います。
そして今日のテーマのように「たった一人に」ということも
比較的良く聞く話しになってきていますよね。
しかし、現状会社に余裕があるならまだしも、
決してそうではなくて、
とにかく売上が欲しい、顧客を増やしたい、という局面で
ターゲットを絞ったりすることは、結構恐ろしいものです。
ターゲットを絞るだけでも恐ろしいのに、
「たった一人」などと考えるのは、
もっと恐ろしい。
その気持ちはよくわかります。
売上を求めるがゆえにできるだけ多くの人に売りたい。
その「多くの人に売りたい」という気持ちが、
ターゲットを絞り込むのではなく逆に
こんな人を取り込みたい、あんな人も取り込みたい
こんなものも売りたい、あんなものも売りたい
そんな気持ちに経営者を連れて行ってしまいます。
しかしそれが、結果として、
儲からない会社や店舗を作り上げていきます。
なぜ、「誰にでも」が良くないのか。
さてそれでは、なぜ
「こんな人も、あんな人も」
というのが良くないのでしょう?
この思考に陥っている人は、
そのようにした方がいろんな人を取り込めると思っているのだろうと思います。
または、目の前の人にとにかく買ってほしい、という焦りが
その思考を生み出しているのでしょう。
しかし「誰にでも買ってもらおう」というのは結果として、
誰にも買ってもらえません。
大昔のようにものが不足していて、
人があらゆるものを求めている時代は、
きっとそれが通用したのだろうと思います。
というか、ものがあればあるほど売れるわけですから、
「誰にでも」「何でも」というのが正解だったのだろうと思います。
しかし今は残念ながらそんな世の中ではありませんし、
そんな世の中に二度と戻ることはありません。
それぞれに異なる「私の求めるもの」というものがあり、
それぞれが異なる「私の求める価値」というものができあがっているのです。
その特定の「私」に届くようにするためには、
その特定の「私」にとって価値あるものでなければなりません。
ですから、お店や会社が「誰にでも」となっている時点で、
それは多くの人にとって
「魅力のないもの」
「価値が感じられないもの」
となってしまうのです。
こうして、多くの人に刺さるようにしようと思うと、
結果として誰にも刺さらないのです。
たった一人に思い切り刺さるものを。
一昔前は、このようないわゆる「ニッチ」な世界は、
大企業が手を伸ばしてこない領域でした。
なぜなら市場が小さいため、大企業の収益確保の観点からは、
いわゆる「美味しくない」市場だったからです。
しかし世の中の消費者がそれぞれ独自の価値観を
購買のあらゆる局面で表明するようになって、
大企業もそれを無視することはできなくなっています。
ターゲットを絞ることは当然昔から行われていますが、
さらに個性を明確にした商品開発・戦略を行っています。
しかしそれでも、極めて尖った世界観は、
まだまだ小零細企業の専売特許。
なんとなく尖らせてある程度の人に刺さるように、ではなく、
徹底的に尖らせて、特定の人には間違いなく思い切り深く刺さる、
これが大切なのです。
アイドルグループ見ていればわかります。
こんなとりたてて、カッコ良くもない、かわいくもない人が、
なんでこのグループに入っているのだろう?と思うことありますよね。
でも見ているとその人にはその人なりの、
単純な見た目とは別の
独特な魅力を持っています。
秋元康も言っていました。
というかこのブログのタイトルは、秋元氏の発言そのものです。
「平均点の高さよりも、たった一人に思い切りささるものを」
100万人になんとなく好かれる人ではなく、
10万人に徹底的に愛される人。
これを10人集めてグループにすれば、
そのグループには100万人の熱狂的なファンがつきます。
もちろん我々は小零細企業ですから、そんな徹底的に尖った商品を
10種とか48種とか作ることは難しいと思います。
それでも、特定の人に確実に刺さるということは、
そこに確実に熱狂的なファンを生み出すということに変わりはありません。
そして実際にやってみればわかりますが、
そうやって作り上げた「尖ったもの」は
そのたった一人にだけではなく、
その周辺の人にも間違いなく刺さります。
なぜなら特徴が際立っているから。
結果として、その「めちゃ尖った商品」が売れる商品となり、
「めちゃ尖った会社」が利益のでる会社となるのです。
尖ることを恐れないようにしましょう。
尖らないということは、ヨソと同じ、ということです。
たった一人に、確実に思い切り深く刺さる。
これを意識した商品作り、会社作りを目指していただけたらと思います。