中途半端は価値がなくなる。

世の中、本当にいろんなものが二極化しているなぁと感じます。
所得はとっくに二極化していますし、
その結果として富は二極化しつつあります。
人々の思想も徐々に二極化しています。
そんな中、事業を通して提供されてる「価値」も
大きく二極化しています。

ココナラの存在から感じること

半年ほど前に、ちょっと英語に翻訳したいものがあったので、
最初は自力でやってみようと考えたのですが、
出来なくもないけれども、かける時間と成果物のクオリティから考えて
これは割が合わないな、と思ったので、
外注に出すことにしました。

このとき、今更ではあるのですが、
「ココナラ」を初めて利用しました。

一応ご存じない方のために、「ココナラ」とは、
誰でも自分のスキルや知識、経験などを売り買いできるサービスです。
そこには本職の人もいれば、
サラリーマンが副業としてされていることもあれば、
主夫・主婦が空いた時間のお小遣い稼ぎにされていることもあります。

そしてこれを利用した感想としては、
まぁ充分なクオリティのものを非常に早く、
安く仕上げて納品していただきました。

実際に利用しておきながら、なんなのですが、
「これは、市場が壊れるな」
と感じたものです。

翻訳に限らず、ココナラでは
本当に様々なサービスが提供されています。
この品質のものをこの価格で提供されたら、
本業の人はたまったものじゃないな、
と思いました。

しかしよく考えれば、youtubeだってそうです。
玉石混交ですが、超一流の人たちが自分自身のチャンネルを持ち、
そこで結構な品質の情報を提供しています。
もちろん適当なものも多いですが。

しかも実際コロナ蔓延からこっち、
急激にその量と質がアップしています。

このように考えると、
実際の「物」を介しない、知識・情報・スキルなどは、
それが高度でクオリティの高いものでなければ、
劇的にその価値を失っていっているように思います。

もちろん情報提供側は広告収入を得ているわけですから、
発信力の高い人は、自分の持っている情報を
これまでよりも高く売ることができているわけですが、
受け手は基本無料ですから、
受け手自身がわざわざ対価を支払って受け取る情報の期待値は
これまで以上に大幅にあがっているのです。

価値を明確にする必要がある

これを聞いて、
「いやいや、そんな中途半端なものと自分たちの提供しているものと一緒にしないでくれよ」
と思っている方もおられるかもしれません。

しかし残念ながら、価値というものは相手が素人であれば、
その差は、案外伝わりにくいものです。

プロがプロ同士でしかわからないようなこだわりの部分を
互いに自慢し合っているようなことがありますが、
残念ながらそれはプロ同士だからこそ気付くのであって、
よほど際立った違いがそこにない限り、
正直我々素人にはよくわかりません。

私がココナラを通じて依頼した翻訳にしたって、
また別のプロの目で見たときに、
「もっとこんな表現があるよ」
ということもあろうかと思います。
それを聞いて、確かにそうだ!と思うこともあれば、
別にどっちでもいいな、と思うこともあるでしょう。

なぜなら翻訳に関して、私は素人だから。

そしてその差に気が付かないのであれば、
残念ながらその差は消費者に対して
「価値」として伝わらないのです。
そして価値として伝わらなければ、
それを価格に転嫁することはできません。

プロならではのこだわりや優れた技術・品質を否定しているのではありません。
むしろそれは、それ自体が「違い」の源泉となるものですから、
間違いなく、とても大切なものです。

しかしそれが顧客に価値として伝わらなければ意味がない、
と言っているのです。

ですから、価値を正しく価値として伝わるように明確にすること、
そして、その価値を正しく価値として認識してくれる人に届けること、
これがとても大切です。

私がどれだけ、「コンサルのできる税理士」として謳ったところで、
それを求めていない人には何の意味もないことですし、
私の経営に対する考え方と異なる方には、全く無価値なものです。
そして無価値なものに高いお金を支払ってくださる方は、いないのです。

発信力が大切である

自らが明確に他とは異なる「価値」を有しているのであれば、
それを「価値あり」として発信しないことには
相手には伝わりません。

相手に伝えることなく、
相手がそれを感じて汲み取ってくれると信じるのは、
ちょっと消費者を買いかぶり過ぎなのです。

私の知り合いに、洋菓子屋さんがいます。
その洋菓子屋さんは、本当に自然な原材料だけを使って、
クソマジメなほどに手間をかけてお菓子を作っています。
そしてそれは素晴らしく美味しいのです。

一方で、その近くに、
「うちは自然素材にこだわって作っています」
と謳っている同業者がいます。
でも実際、その知り合いに聞いてみると、
「そのお店は、全然そんなことないよ」とのことでした。

それを聞いて私はその知り合いに、
「本当にちゃんとマジメにこだわってやってるんであれば、ちゃんと伝えればいいのに」
と言うと、
「その、ウソついて発信してるお店と同列に見られたくないから、
 うちはわざわざそんなことを発信したくない」
と言うのです!!

わけわからないようですが、何となく気持ちはわかります。

でも残念ながら、
実際に舌だけでその差を判断できる顧客はほとんでいてませんし、
その近隣の同業者も充分に及第点を超えているお店なので、
当然のようにその同業者の方が圧倒的に儲かっています。
少なくとも売り上げは圧倒的に相手の方が上です。

その私の知り合いは、それを見てはまた、悔しがっているのです。

最終判断は経営者のすることですから、それ以上は何もいいませんが、
非常にもったいないな、としか思えません。

伝わらない価値は、その価値を実際に持っていない事業者と
十把一絡げとされる恐れがあります。
価値が二極化しつつあるからこそ、
その二極化の上澄みに入る資格がある価値を有しているのであれば、
積極的にそれは発信していきましょう。

それが経営者自身のためでもありますし、
それによって、本当に高品質なものの提供を受けることができる消費者のためでもあるのです。

自らの価値が「中途半端」であるならば、
さらに価値を磨きあげましょう。
中途半端な価値は、価値がないものと同質化されます。

そして本当に価値があるのであれば、
それはきちんと相手に伝わるように表現する工夫と準備をして、
実際に伝えていくようにしましょう。

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