いろんな会社が経営計画を作ったりされていますが、
そんな経営計画書を見てきて大事なものが欠落しているケースをよく見かけます。
経営計画に入っておくべき要素
小零細企業の経営計画の策定に、仕事を通してこれまで関わってきて、
さまざまな経営計画書を目にしてきました。
・数字だけでできたもの
・数字がやたら細かいもの
・いろんな方針が盛り込まれたもの
・社員愛が強烈なもの
・新しい事業展開の熱い思いにあふれたもの
・社員一人一人の目標が記載されたもの
などなど。
もちろんこれら複数のものが盛り込まれたものもありますし、
それに関して「これが正解」といったものはありません。
ただ、数字だけでできたもの(特に損益計画だけ!)というのは
経営計画としては論外です。
数字を作っただけで安心してしまう気持ちはわかりますが、
それは計画とは呼ばないただの数字遊びですから。
そして結構多く見かけるのは、
めちゃ分厚くできあがっているけれども、
その中身は「社内をどうするか」とか、各種方針についてばかりで、
マーケティング要素が欠落しているものです。
マーケティング計画は経営計画に必須!
ドラッカーさんは言ってます。
企業の目的が顧客の創造であることから、企業には二つの基本的な機能が存在する。
すなわち、マーケティングとイノベーションである。
企業組織はボランティア組織ではありませんから、
「顧客を創造」することは存続のための必須要件です。
どれだけ素晴らしい理念を掲げてそれに共感する人がたくさんいようとも、
顧客を創造できなければ、残念ながらその企業は継続が不可能。
結果としてその素晴らしい理念が実現されることはありません。
売上と利益を上げることが正義ではありませんが、
理念だけでもメシは食っていけません。
そして経営計画が、
「その企業が企業として継続・維持・発展していくために
やっていくことを計画したもの」
であるならば、
そこにマーケティング要素がなければ、それは
経営計画とは呼べないわけです。
マーケティング要素の欠けている経営計画は、
結局売るための計画がフワっと抽象的であったり、
どうやって売り上げをあげていくのかという戦略や計画が不足しているわけですから、
数字として掲げた売上が達成されることはまずありません。
経営者がやたら営業が得意で、
その才覚だけでバリバリ売り上げがあがるケースもたまにありますが。
何をどれだけどうやって。
一口にマーケティングと言いましても、その範囲は結構広いですから、
いろんなことが定められておく必要があります。
ただマーケティングの基本は、
「自社の価値(商品)を、届けるべき人(ターゲット)にちゃんと届ける仕組みを作る」
ということです。
この視点で、具体的にどう行動してどれだけの成果をあげるのか。
その仮説を立てることが計画となっていきます。
・自社の商品は何なのか、いかに改善するのか。
・ターゲットは誰なのか
・ターゲットへどんなアプローチをするのか
・それをどれだけのボリュームで行うのか
・それをいつ誰がどうやって行うのか
こういったことが数値でもって計画されたとき、
それは初めてマーケティング計画として機能するようになってくるのです。
ただ計画はあくまで計画であって、それができあがって終わりではありません。
計画は何のために存在するのかというと、
それを実行することでその達成すべきところに会社を導いていくためです。
さらには、
計画ができたらあとは実践するのみ、
ということでもありません。
計画にそって実行した後は、
ちゃんと実践の結果を集計し、
計画と照らし合わせて検証しましょう。
そしてその検証の結果どのように計画を補正していく必要があるのかを定め、
またそれを実行していくのです。
こういった実行の結果と計画の検証ができるようになるためには、
数値に基づいたマーケティング計画が経営計画の中に盛り込まれていないといかんのです。
成果の出る経営計画には
マーケティング要素がきっちり入っています。
その成果をあげるために、具体的にどんな活動をどれだけ行う必要があるのか。
ぜひそれを、具体的な行動レベルで定めて、
実りある経営計画としていただけたらと思います。
企業の二つの機能のもう一つであるイノベーション。
これと経営計画との関係については、また日を改めて。