デザインは、ブランディングではない。

デザインだけでブランディングは完結しません。当然ですが。
しかしそう感じている人が多すぎるのです。

コンセプトが大切。

デザインはブランディングの一部に過ぎない

たまに、「ブランディングをしましょう」とデザイナーさんなどが入ってきて、
ロゴや一部の商品のパッケージだけをいじって、
それでもってブランディングなどと称しているケースがあります。

そしてそれに対して結構なデザイン料(コンサル料?)を
支払っているケースをたまにみかけます。

これは当然ですが、ブランディングとは呼びません。
ただ、見た目を整えただけです。

もちろんもともとパッケージデザインがイケてなくて、
こういう取り組みをしたわけでしょうから、
もとの商品からすれば商品価値は高まっているとは言えますが、
そんなことだけで、顧客がその商品を購入する理由が発生することはありません。

体裁だけ整えた薄っぺらなデザイン変更は、
消費者にあっという間に見抜かれてしまうのです。
デザイン感覚がそれほどない方でも、
その薄っぺらさがなんとなく感じ取れてしまうのです。

商品づくり自体がそんな中途半端な状態ですから、
全体的にスキが見え隠れしているのでしょう。

デザインを決める前に。

もちろん前述のようなことは、
デザイナーのせいだけではなく、
そのような感性を持ち合わせていない経営者の責任でもあります。

ブランディングとは、
その会社がその会社の商品やサービスを通して
消費者や社会に伝えたいこと、届けたいことを、
わかりやすく伝えることです。

伝えたいことを正しく消費者に伝えることでそこに共感が生まれ、
消費者は、
「この会社の商品を買いたい」
という気持ちになってくれるのです。

ですからまず入口は、
自社が商品を通して何を伝えたいのか。
いわゆる「コンセプト」をピカピカに磨き上げるところからのスタートです。

通常これだけで相当の時間を要します。
普段そんなことを考えたこともない経営者も
たくさんいらっしゃいますから。

そうしてそのコンセプトを一言で表現したコピーと、
その内容を詳しく伝えるブランドメッセージが必要になります。

デザインはこうしたコンセプト(=会社の伝えたいこと)を
商品で表現するために作り上げられるものです。

ですから、ブランディングといって、
最初にコンセプトづくりから入らず、
いきなりデザインから入るものは、
ニセモノと考えていただいて差し支えないかと思います。

デザインにもディレクターが必要

このように「ブランディング」に対する
意識の低い経営者が商品開発を行うと、
新しい商品を開発する都度、
異なる印刷屋さんや異なるデザイナーに
パッケージデザインを発注するため、
その会社の商品全体で眺めてみたときに、
とんでもないバラバラ感を醸し出しているのもよく見かける風景です。

前述のとおり、デザインは
カッコ良かったり美しかったりするのは大前提ですが、
それ以前にコンセプトを表現するためのものです。

ここの部分にブレが生じると、
その会社の商品全体がとりとめのないものとなってしまうのです。

ですから、まずはこれも前述のとおり、
商品やブランドのコンセプトをしっかり作り上げることが最優先。
そしてそのコンセプトに則ってそれ以降の商品開発や
それ以外の会社のアイテム一つ一つを作り上げていくために、
全体を統括するディレクターが必要です。

いわゆる「ブランドマネージャー」と呼ばれるものです。
社内のデザインについては、
この人の「GO」が出なければ、表に出してはいけない、という存在です。

会社のブランドを体現する人でもあるので、
基本的に社内の人材からブランドマネージャーを抜擢するべきです。

しかしどうしてもそのような人材が社内にいない場合もあります。
というか、小零細企業においては、
めったにそんな人材はいないんじゃないかと思います。

経営者自身が多少その能力を持っている場合には、
経営者がブランドマネージャーを兼任することになります。
もしどうしても社内に人材がいない場合には、
デザイナーやコンサルなどの社外の人にその役割を託す必要があります。

なかなか保守的な小零細企業の経営者は、
こういった部分にお金をかけることに抵抗があるようですが、
これが自社の商品の独自性を生み出し、
競争力を生み出し、
付加価値を生み出す源泉となります。

ですからここはお金のかけどころだとも思うのです。

まずは経営者自身が、
ブランドやデザインに関する感性を有することが最優先。
社内ばかりに目を向けず
他社の商品、新しい商品にも目を向けましょう。

そこから得られる気づきが、
自身の美的感覚の肥やしになります。

私もたまに一人でプラッと美術館にいったりします。
これは何も趣味や息抜きではなく、感性を高めるため。
ぜひそんな機会を皆さんも持っていただけたらと思うのです。

タイトルとURLをコピーしました