あなたの事業・会社の顧客は、どんな人でしょうか?
それを定義することは大切です。
ターゲットを定める、ということですね。いわゆる「ターゲティング」です。
それではなぜ、顧客の定義やターゲティングというものが必要なのでしょう。
そのあたりを整理してみました。
それでは誰にも刺さらない
「ターゲットを定めましょう」、というお話しをしたときに
それを躊躇される方が必ず口にするのは、
「その他の人に売れなくなるのが怖い」
ということです。
その時必ず私がお話しするのは、
「心配しなくても、そのターゲット以外の人も買ってくれる」
ということです。
マーケティングは、
自社の商品の持つ価値を、それを求める人に届ける作業です。
どれだけ価値があるとしても、その価値に気がつかない人は買いませんし、
どれだけ特定の人にしか理解してもらえない価値であったとしても、
それを求めている人にちゃんと届けば、
「それを待ってたんや!」となります。
自社の商品の価値が、ちゃんと消費者に刺さってこそ、
はじめて消費者はその商品を購入してくれます。
だからこそ、ターゲットがちゃんと定まっていないと、
どんな人に刺さる商品を作るかということもはっきりしませんし、
どんな人に刺さるかはっきりしていない商品は、
結果として誰にも刺さらないのです。
特定の人にしか届かない商品やサービスを生み出すことを恐れていると、
結果としてはそれは誰にとっても魅力の無い商品・サービスでしかなく、
誰の元にも届きません。
逆にその価値が尖り過ぎていたとしても、
その「尖り」に完全にマッチする人だけでなく、
その尖り具合に引き寄せられる人は出てきます。
改めて言います。
全員に買ってもらおうと思う商品は、誰のニーズも満たしません。
商品・サービスの価値を、それを求める人にきっちりと届けるために、
顧客は明確に定義しましょう。
会社方針・商品企画のブレを抑える
顧客を定義することのもう一つの目的は、
会社の方針や、商品企画などのブレを抑制することです。
どのような人をターゲットにするのかということが定まっていないと、
商品企画は当然に場当たり的になります。
新しい商品やサービスを開発する都度、違ったイメージのものができあがり、
とんでもない「バラバラ感」を生み出します。
要は、商品・サービス開発が、
行き当たりばったりになってしまうということですね。
たった一人で事業を運営している場合でも、バラバラ感が出てしまうわけですから、
複数の人が関わるような会社であれば、なおのこと。
そしてそういった「バラバラ感」は消費者には確実に伝わります。
消費者の方で「このお店、統一感がないね」とまで理解されなくても、
「魅力がない」「なんとなく違和感」というカタチで伝わります。
みなさんも、自分自身が消費者側の立場にたったときには、
わかっていただけると思います。
ありますよね、そんなお店。
そしてそんなお店は、いつの間にか消えていってしまってますよね。
それなのにこれが自分の会社やお店のこととなると、
「誰にでも売りたい」という誘惑や
「売れなかったらどうしよう」という恐れにとらわれて、
ブレにブレてしまうのです。
だからこそ、そこは勇気をもって、ターゲットを絞りましょう。
小零細企業はあれもこれもできない。
これは前述の理由とは少し視点が違って、
ターゲットを定めるにしても、それを極力広げないようにしましょう、
というものです。
このブログの読者は、
基本的に一人経営者や小零細企業の経営者です。
というか、私がその方向性で書いています。
そしてそんな小零細企業は経営資源が限られていますから、
あれもこれも手を出すということはできません。
いや、手を出すことはできますが、全くオススメしません。
なぜなら力が分散してしまうからです。
資源が限られているということは、
極力その資源を一所に集中する必要があります。
そうでないと全てが中途半端になってしまいます。
ターゲットが違えば、商品が違います。
商品が違えば、その違う数だけ開発する必要があります。
こんなことが零細企業にできるわけがありません。
違う商品でも、そのターゲットをできるだけ統一していきましょう。
そうすることで、自社の経営資源を一点に集中することができて、
よりターゲットに刺さる商品を開発することができますし、
統一していくことで、それが企業イメージとして、ブランディングにもつながっていくのです。
前述の通り、マーケティングの本質は、
商品価値をそれを求める消費者に届ける作業。
ですからまずはその価値を届けたい消費者(=ターゲット)が定まらないことには、
実は何も始まらないのです。
小零細企業は、まずは会社全体の「顧客の定義」というものを作りましょう。
それが企業の方針となって、ブレがなくなり、
企業イメージを作り上げ、企業価値を高めます。
そして商品を開発するときには、
その定義された顧客の中から、さらにどんな人に届けるのか、
まずこれを定めるところから始めましょう。
そのあとに、そのターゲットに届ける「価値」を一つ一つ構築していく。
この順序が大切なのです。