世の中はものすごい勢いで変化しています。それに合わせて我々も自身の事業のあり方を変化させる必要があります。この「ビジネスシナリオ」の考え方の概論についてお話しします。
ビジネスシナリオとは
ビジネスシナリオとは、
これからどんな事業方針で経営を進めていくのか、
ということです。
もう少し具体的に言うと、
「これからどんな事業を展開していくのか」
「今の事業をどのように変化させていくのか」
といったことです。
結論から申し上げますと、それらは
「求められること」
「できること」
「したいこと」
の3つの条件を満たす事柄として生まれ、決定されます。
なぜビジネスシナリオが必要か
私たちが事業を行っている中で、世の中はどんどん変化していきます。
10年前には考えられないようなスピードで変化しており、
これからもさらにスピードアップして変化していくでしょう。
特に今回のコロナウィルス感染拡大のような社会的な大事件があったときには、
それに輪をかけて速度があがります。
2年前にこれほど迅速にウェブ会議やテレワークの環境が整うとは
誰も想定できていなかったと思います。
だからこそ、私たちは自分自身の経営・事業に対して柔軟である必要があります。
強いものが生き残るのではない
賢いものが生き残るのではない
環境の変化に対応できたものだけが生き残るのである。
この言葉を本当にダーウィンが言ったかどうかは定かではありませんが、
変化に対応しなければ滅びる、ということは事実です。
会社についても全く同じ。
頑なに今ある事業を守っているだけでは、
その先にあるものは「滅び」のみです。
同じ事業内容で100年以上続いている会社もあるように思われます。
しかし彼らとて全く同じではなく、
現在の環境に合わせるために少しずつ事業のあり方を動かしています。
思い付きで事業展開してはならない
今の事業を続けるとき、または新しい事業を行おうとするとき、
なんとなく感覚と思いつきでやっていませんか。
これがどれほど危険であるかは、上記の事実からわかるはずです。
そしてその事業を行う理由、現状の事業に手を加える理由を経営者として明確に説明できなければ、
社員はついてこれません。
幹部社員も何をすればいいのかわかりません。
「また社長、思い付きでわけわからんこと言い始めたわ・・」
と思われるのが関の山です。
(ちゃんとした明確な理由がある場合でも
コミュニケーション不足だとこのようなことに陥りがちですが、
それはまた別の問題です)
なぜ、こんなことを思われるのか。
その事業が社長の「やりたいこと」だけから生まれたと思われているからです。
そして本当にそうであるならば、その進み方は危険です。
あくまで「感覚」だけで事業を行おうとしているのですから。
ではここから、次に取り組んでいく事業を考えるための3つの要素について考えていきましょう。
ひとつめ「求められること」
事業というのは、社会の中に存在し、
その社会から求められているものであるからこそ
事業として成立します。
いわゆる「社会的使命(求められていること)」です。
それがなんであるか考えるために、
「外部環境」というものを考える必要があります。
今、社会がどのようになっていて、今後どのようになっていくことが予想されるのか。
その中から
「現在このようなことが社会が求めているだろう」
「近い将来このようなものが社会に求められるようになるだろう」
というものが紡ぎだされます。
外部環境の考え方はそれだけで結構深いものがあります。
また別の機会にゆっくりとお話しいたします。
ふたつめ「できること」
ただ社会が強く求めているとしても、それだけでは事業の方向性にはたどりつきません。
事業として成立するためには
「それを実現する能力」
が求められます。
つまり「できること」です。
これは今できること、だけである必要はありません。
今の自社のあり方からすれば、近い将来こんなことができるだろうな、
ということももちろんありです。
そしてさらにいうと、
自社ではできなくとも自分のまわりにそれができる人がいればOKです。
何もかも自社内で解決する必要はありませんから。
事業の原則は「強み」で勝負をすることです。
この「できること」というのは言い換えれば「強み」です。
この局面でないと、事業としては成立しません。
あらゆる事業は競争のもとで成立しています。
競争に打ち勝つためには、強みポイントで戦わないとならないことは明白です。
さらには自社の弱みには、その向こう側に
「苦手」
「嫌い」
という感覚が貼りついています。
次の項目にもつながる話しですが、
「苦手意識が強い事業に力を注いでいこう!」
なんてことはできないでしょう。
もしやったとしても伸びていかないでしょう。
だって嫌いなんですから。
みっつめ「やりたいこと」
そこで事業の方向性を示す最後のパーツは、
その事業がやりたいことであるか、
ということです。
そもそもその会社には事業ということ以前に
「こんなことをやっていきたい」
というものがあるはずです。
特に小零細企業は経営者の想いがそのまま経営に反映されるのでなおのことです。
この「(将来)こんなことをやっていきたい」という部分と合致するものでないと
事業に心から力を注ぐことはできません。
結果としてその事業が育っていくことは難しくなってまいります。
社会に対して「こんなことを提供していきたいんだ!」
その強い想いが、事業を形作り、成長させていくのです。
その前提として理念や社会的メッセージを整理する必要があるのですが、
ここではいったん割愛させていただきます。
事業を最前線で実行していくのは全社員です。
しかし全社員に同じ方向を向いてビジネスを成功してもらおうとするならば、
経営者の強い想いが絶対に必要となります。
経営者のその思いが、組織を動かす原動力となっていくのです。
以上の3つの中から紡ぎだされるものが、皆さんが取り組むべき「事業領域」であり、近い将来取り組むべき「事業領域の芽」となります。徐々に変化する環境変化に対応するため、
「社会が何を求めているのか」
「私たちには何ができるのか」
「私たちは何がやりたいのか」
これらのことを1年に1回は考える機会を持つようにしましょうね。