さて、一日開けてしまいましたが、
一昨日の「頭の中を整理する」の第二回です。
前回はアウトプットするところまで。
今回はこれを優先順位ベースで整理整頓します。
優先順位と、「捨てる」
経営者の皆さんの頭の中でグルグルしている解決すべき問題課題を
すべて吐き出すことが出来たとすると、
これはなかなかにすごいボリュームだろうと思います。
いったんこれをアウトプットできたことは、
その時点でとても良かったことなのですが、
ここに2つの障壁があります。
まず一つ目は、その全てに手を付けることはできないこと。
小零細企業は、まず間違いなく人的経営資源が乏しい。
社員数が少ない会社を小零細企業と呼ぶわけですから
当然と言えば当然です。
したがって、解決できる問題課題の数には限界があります。
ですから、
「今回はこれを放置する、捨てる」
という勇気を持つ必要があります。
そして二つ目の障壁は、
気になるものから手を付けてしまう、ということです。
この「気になるもの」というのは、
経営者が気になっているものですから、
それがどんな基準で気になっているかは、
経営者によって異なります。
放っておくと大事故につながりそうだから気になる、ということもあるでしょうし、
取り組むのが楽しそうだから気になる、ということかもしれませんし、
面倒なことから目を背けるために思わず手を付けてしまう、
ということがあるかもしれません。
しかし、なんの根拠もなく気になるものから順に手を付けていると、
本来手を付けるべきものが後手に回ってしまったり、
手が回らなくなってしまったりするリスクがあります。
ですからまずは、
優先順位を定める必要があるのです。
定番の「緊急度」「重要度」
さてそれでは、この「優先順位」をどのような形で
定めていくのかということを考えてみましょう。
このときに便利なのが、
「緊急度」と「重要度」のマトリクス。
定番のフレームワークですので、ご存じの方も多いはず。
でも知らない方も多いと思うので、ちゃんと解説します。
縦軸に重要度(上に行けば行くほど重要)
横軸に緊急度(左に行けば行くほど緊急)
という二つの軸のマトリクスを作ります。
すると4つの象限ができます。
①左上:重要度も緊急度も高い
②右上:重要度は高いが緊急度が低い
③左下:緊急度は高いが重要度は低い
④右下:重要度も緊急度も低い
アウトプットで吐き出した解決すべきことを、
その度合いに応じてこのマトリクスに配置していきます。
優先順位をどのように定めるか。
次に考えるべきことは、この①から④を
どのような手順で手を付けるか、ということです。
まず①は、重要度も緊急度も高いわけですから、
当然のようにこれが最優先の問題・課題ということになります。
そしておそらくここに当てはまるものは、あまりに重要過ぎるので、
特に意識せずとも、経営者が自然と優先的に
手を付けることになるだろうと思われます。
大切なのは2つ目。
頭の整理が出来ていないと、
緊急度が高いことから、一般的に③に手を付けてしまいがちです。
②は確かに重要度は高いのですが、
それを放置しておいても短期的には何の問題も生じませんから、
どうしても後回しになってしまうのです。
しかし②と③とを比べて、どちらが大切かと言うと、
それは当然②、ということになります。
だって、重要性が高いんですから。
確かに緊急性は低いかもしれませんが、
重要性が高いということはそれだけ会社の根幹に関わるということです。
短期的には影響はなくとも、
中長期的に考えたらこれを放置しておくと
間違いなく会社に大きなダメージを与える結果となる、
というものです。
一方③は確かに緊急性が高めなので
早く手を付けたくなるんですが、
冷静に考えると重要性は低いので、
実は手を付けるのが遅れても、
致命的なことにはならないものです。
ですので本来手を付けて解決すべき優先順位は、
①→②→③→④の順番になるのです。
ちなみに④は重要性も緊急性も低いものですから、
これは「捨てる」ものとなります。
この④中に、経営者が何となく興味があるという理由で
楽しくて思わず手を付けてしまうものがあったら、
それは要注意です。
それは手を付ける必要のないものですから、
大切かつ貴重な人的資源と時間資源、
もっと優先順位の高いところに充てて、有効活用しましょう。
このマトリクスのポイントは、
②と④を知るところにあります。
緊急性は低くとも重要性が高い課題は、
意識して必ず取り組んで一定の成果をあげましょう。
そして④はたとえ気になるものがあるとしても、捨てましょう。
少なくとも、今は手を付けるべきものではないのです。