先日、とあるTV番組をみていて、登場した経営者さんが
「うちの会社は、世界で一番失敗をしているから、新しい商品が生まれる。」
と言っていました。
失敗を恐れずに「やってみる」ということが大切です。
なぜやってみることが大切なのか
いろんな経営者の方を見ていて、
とにかく思い立ったらすぐに動き出す人ともいれば、
考えてばかりでなかなか動きださなくて、
「あれがあるから無理、これがあるから無理」
と考えて結局動けないという人もいます。
今回のブログは、当然この後者の方へ贈る言葉です。
どんなことでも考えなしにホイホイ動き出す人は危険極まりないわけですが、
「うーん」と考えてばかりで手を付けないというのは、いけません。
どんなことが起きるのか、
どこにどんな問題があるのか、
最初からわからないことの方が多いからです。
そしてどんな事業でも、
どんな商品開発でも、
そこには必ず一定の困難さが伴いますし、
必ず何らかの壁が立ちふさがります。
ですから最初からそういったことばかりにフォーカスしていると、
手を付けられることがなくなってしまいます。
いくら考えていても動かないのであれば、
それは結局何もしていないことと同じことです。
これでは経営が一切前に進んでいきませんから、非常に危険です。
これまでやったことのないことについても同様です。
やったことがないから、わからないから、できない、
ということでなく、
わからないからこそ、やってみるのです。
逆にやってみないことには、わかるわけがないのです。
偏見かもしれませんが、2代目3代目の経営者に、
このような傾向が強いように思います。
初代はやはり事業を起こすだけの気概がありますから、こういった人が少ないのでしょう。
必ずしも初代の全員がそうというわけでもありませんが。
失敗してみないとわからない
皆さんもご存じの逸話だろうと思いますが、
エジソンは100回失敗しても、それを失敗だととらえていません。
その100回の方法が間違いであることを知った、
という理解です。
経営者にとっては、この考え方が相当に健全です。
先ほども書きました通り、
どんなことでもそこには困難と失敗がつきものです。
そしてどこにどんな問題があるのか、
最初からすべてわかっている人はいません。
もし事前に問題が見えていても、それは
「じゃあムリ」
と考えるための対象ではなく、
「じゃあどうすればクリアできるか」
と考えるための対象です。
まずやってみる➡失敗する➡改善する
この繰り返しによって少しずつ前進し、
為すべきことに近づいていくのです。
失敗して壁にぶつかる都度「ムリ」とか考えてると、
どんな事業も形になることはないのです。
私も小零細企業経営のコンサルをやっていますから
「どうやったら成功しますか?」とか
「どうやったら売れますか?」とか
聞かれます。
でも残念ながら絶対成功する方法も、絶対売れる方法もありません。
成功する確度を高めることはもちろんできますが、
「こうやったら絶対売れるよ」というのは
ウソと思った方がいいです。
自分なりに方向性や手段を決めて、その成果を想定しつつ、
まずはやってみることから何事もスタートです。
そして想定のようにうまくいかなかったら、
「なんでやろ?」
と考えてまたやってみる。
結局はこういったことの積み重ねなのです。
考えないといけないことは「リスク」
そうは言っても、どんなことでも何も考えず手を付けてしまうのは恐ろしい。
浅はかな考えで冒険して大失敗にいたる、ということを繰り返していると、
会社はなくなってしまいます。
ですから、最初の段階で「考える」ということは大切です。
考えたあげく行動しない、ということが問題なのであって、
何も考えずに行動することを奨励しているわけではないのです。
ここで考えないといけないことは、
「リスク」
です。
もしこれをやってみてうまくいかなかったら、
そこにどんなリスクがあるのか。
例えば大きな設備投資を伴うような計画であれば、
もしそれがうまくいかなかった場合には
会社にどのようなダメージがあるのか。
それは今の会社の体制の中で充分に吸収できるダメージであるのか、そうでないのか。
もし失敗して会社が吹き飛んでしまうようであれば、
それは私は基本やるべきではないと思います。
世の中に「絶対」はありません。
私の住んでいる奈良市は、観光地です。
インバウンドを含めてものすごい人が観光に訪れていました。
そして今から遡ること2年ほど前に完成したホテルが何棟かあります。
おそらくこれらのホテルを計画した方、
「絶対うまくいく」と思っていたことだろうと思います。
まだまだ宿泊施設の数が足りていない状態でしたから。
しかし実態はみなさんご存じのとおり。
コロナウィルスの感染拡大がはじまり、観光の外国人は街から消え、
日本人観光客も一時的に、ほぼいなくなりました。
このときリスク計算ができていなかった会社は、
おそらく大変なことになっているだろうと思います。
うまくいくのも失敗するのも、
そこに「絶対」はありません。
最初にちゃんと考えてリスク評価をし、
どのようにすれば最大限成功に近づくのかということを計画し、
リスク上問題がないと判断したらあとは能天気に行動する、
という手順です。
危機管理の要諦と同じく、
「悲観的に計画し、楽観的に行動する」
これが経営を、事業を前に進めていくキモです。
ぜひ、リスクが小さいのであれば、
まずは動いてみましょう。
その先に見えてくるものが必ずあるだろうと思います。