なぜ「経営コンサルタント」は胡散臭いのか。

経営コンサルタントという職業があります。
かく言う私もその一人です。
税理士でありながら、小零細企業の経営コンサルタントです。
しかしなんだか、この「経営コンサルタント」という響きには、
一種の胡散臭さが伴います。

結局、コンサルタントと名乗っています。

税理士として開業をした18年以上前からずっと、
私はいわゆる税理士よりもコンサルであると思って仕事をしています。
税金の計算や節税を価値とするのではなく(もちろんこれらも行いますが)、
いかに顧問先に、良い会社になっていただくか、という視点で考えており、
経営者の方とお話しをして、提案を行ってきていますから。

しかしその18年以上前からずっと、
コンサルタントというワードに違和感を持っていまして、
当初は「財務経営アドバイザー」という表現をしていたこともあります。

ただ、財務だけを切り口にするわけでもありませんし、
むしろ財務は切り口のほんの一部に過ぎませんから、
結局この表現も10年近く前にはやめてしまいました。

で、結局今はどうなっているかというと、
コンサルタント(小零細企業経営コンサルタント)と名乗っています。
なんだかとても残念ではあるのですが、
どういうサービスを提供しているかわかってもらえないと意味がないので、
結局これを採用しています。

実際に胡散臭い人が多い。

おそらく私と同じく皆さんのうち多くの方が、
「コンサルタント」という言葉に、一種の胡散臭さを
感じていらっしゃると思います。

それがなぜかというと、
本当に胡散臭い人が多いからです。

ご存じない方も多いかと思いますが、
「経営コンサルタント」「○○コンサルタント」という肩書きには、
一切の資格が不要です。

ですので誰でも明日から、というか今日たった今から、
「コンサルタント」を名乗ることが可能です。
その能力を担保するものは、資格上ありません。

まぁ税理士という資格を持っているからといって、
必ずしも能力が高いわけでもありませんし、
人格が優れているわけでもありませんから、
実は肩書き自体それほど意味があるものとも思えませんが、
まぁ学歴と一緒で、
「能力がある可能性が、高いんだろうな」
ということではあるのでしょう。

成果があがらないことが多い。

さて、それではなぜうさんくさいかというと、
コンサルタントの提供するものに対して
成果があがらないことが多いからです。

実際にコンサルタントに会社に入ってもらって、
「うちの会社はめちゃ業績があがったよ!」
という人は案外少ないんじゃないでしょうか。

もちろんこれはコンサルタント側だけの問題ではなく、
企業側にも大きな問題があるケースもあるわけですが。

そしてそんな「成果があがるかどうかわからない」ものに対して、
多くの場合、結構そのコンサル料金は高額です。

うちだって、他の税理士に比べれば高額の顧問料でやっていますが、
それもやはり「コンサル」をしているから。

高額な料金をふっかけられたけど、成果があがらないと、
やはり胡散臭い扱いされても仕方のないところです。

ただ、重ねて言いますが、
その事実だけで、悪いのは必ずしもコンサル側、
というわけではありませんからね。

会社の根っこに触れるかどうか。

それでは、そのコンサルタントが本物のコンサルかどうか。
ちゃんと成果につながるコンサルかどうか。
その判断はどこでできるのでしょう?

その要因は必ずしも一つに絞れるわけではありませんが、
私は、そのコンサルタントが、
その法人の「根っこ」に触れているか、触れようとしているか、
ということを一つの判断基準としています。

どんな会社でも、
そして現経営者が初代でも承継者でも、
その会社の持っているルーツや、これまでの経緯、
そして先代から引き継がれる経営に対する考え方、
現経営者の大切にしている哲学といったものが存在します。

「そんな大げさなモノ、うちにはないよ」
と思われるかもしれませんが、
創業者は事業を興す以上、
それが社会性のある理由であれ、個人的理由があれ、
何がしかの思いをもって事業を始めていることだろうと思います。

そして事業は始めるよりも、それを維持し続ける方が大変です。
日々事業を継続する中でその積み重ねてきた苦労のようなものから
にじみ出ている、現在の会社のあり方があります。

「この会社・この事業は、本質的に何を大切にし、
 何を強みとし、どこに独自性をもった、どんな会社なのか」
これがその本陣の根っこです。
この部分に触らずして、いくら戦略・戦術・その他のツールを駆使したところで、
それらを法人の根っこから切り離してしまうと、
その事業は単なるゲームでしかありません。

そうなると、会社の経営者は、
一(いち)ゲームの運営者に過ぎない存在になってしまうのです。
そんな空虚なものが、
継続性のある企業を作り上げるものとなるはずはありません。
非常に短期的な、目先のことを追いかけるだけの
薄っぺらいものとなるのです。

当然成果はあがらないでしょうし、
もしあがったとしても極めて瞬間的なんじゃないかと思います。

コンサルタントの言うことは、実行しましょう。

とはいいつつも、ちゃんと心あるコンサルタントはいます。
そして先日のブログで記載したとおり、
コンサルタントとの打ち合わせで決定したことを、
どんな理由であれ実行しないのであれば
高い報酬を支払ってコンサルタントに依頼をしていても、
それは完全に捨て金。

コンサルタントのモチベーションも大きく下がりますので、
決定したこと・指導を受けたことは、
確実に実行していくことが大切です。

基本的には、納得感を持った中で実行することが大切ですが、
優秀なコンサルの指導内容は、
その全体でもって効果を最大限に発揮するように考えられているケースもあるので、
経営者判断で経営者にとっての「いいとこどり」をしても
効果がでないことが多いもの。

いずれにしても最終的に
経営を実行するのも実践するのも責任をとるのも経営者。
コンサル任せ、ではなく、
徐々にコンサルが不要となるよう、
またはさらに高いレベルの指導にシフトできるよう、
経営者自身が学びを深めて、
経営者レベルを引き上げていく努力を続けましょう。
そんな意識が、大切なんだろうと思います。

人任せでうまくいくほど、
経営は生ぬるいものではありませんから。

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