タイトルは、アメリカ人の経済学者であるセオドア・レビット氏の言葉です。
消費者は、商品そのものではなく、
その商品が生み出す「価値」を求めていることを表す名言です。
消費者が求めるのは「価値」である。
タイトルで紹介した言葉は、正確には
「人々が欲しいのは1/4インチ・ドリルではない。
彼らは1/4インチの穴が欲しいのだ
(People don’t want quarter-inch drills.
They want quarter-inch holes.)」
だそうです。
まったくその通りで、1/4インチの穴さえあけば、
消費者としてはドリルを買う必要というのはありません。
結果として現在その用途を果たすものは、おそらくドリルしかないわけですが、
消費者はその商品そのものではなく、
それが生み出す「価値」を求めているのです。
自社の商品というものを考えるときには、
この「自社が消費者に提供する価値」とはいったい何なのか、
ということにフォーカスする必要があります。
特に小零細企業にとっては、極めて重要なポイントです。
もちろん大企業にとっても大切なことですが。
「価値」とは何者なのか。
先ほどのドリルの例は、
「穴をあける」
という、ドリルの本質的な「機能」の部分を取り上げています。
しかし「価値」は「機能」だけで構成されているわけではありません。
いつも私が例として取り上げるのは、ダイソンの送風機です。
一番シンプルな機能のものは、
本当に送風機能しかありません。
つまり機能としては扇風機と同じ役割しか果たさないのです。
それでも、最も安価な扇風機の
5倍以上の価格になっています。
ということは、
「機能以外にもいろんな価値がそこに付属されている」、
ということですよね。
一時期、スターバックスでPCを開いている人がほとんど、
MacBookだったときがありました。
かく言う私もその一人でした。
私は税理士ですから、普通に考えて
MacよりもWindowsPCの方が仕事に向いているのは明確です。
それでも私はMacBookを選んだんですね。
さて、なぜでしょう。
確かに「使いやすさ」という機能面も無視できません。
しかしポイントは全くそこではなく、
その美しさであったり、
Macを使っているという事実だけで満たされるということであったり。
そんなことの一つ一つが「価値」を構成しています。
「顧客に提供する価値とは?」
という内容を詳しく説明すると、
それこそこのブログ10回分くらいになってしまいますので、
その詳細はまた今後このブログで少しずつお話ししていこうと思います。
ただ、そのヒントとして、
一度皆さん自身が買った商品について、考えてみてほしいのです。
特に、機能面だけで購入したのではなく、
「どうしてもこの商品が欲しかったのだ」
とこだわりをもって購入した商品について。
「なぜこれを選んだのか」
その理由を5個くらいあげてみてください。
それが「価値」の正体(の一部)です。
「価値」を提供しないと安売りになる
さて、それではなぜ小零細企業にとって、
「価値」を提供することが大切なのか。
それは、先ほどの「ダイソンの送風機」の例からわかる通り、
その商品の「機能性」だけが価値だとすると、
必然的に価格は下がっていってしまうからです。
みなさんも、その単純な機能性だけで買い求めるものは、
できるだけ安いものであるはずです。
そして安い商品は当然薄利ですので、
大量生産大量販売が必要となります。
当然、小零細企業の戦うべき土俵でないことは、
すぐに理解いただけることと思います。
価格だけの勝負となりますので、当然消耗戦となり、
資本力の大きい相手に勝てる要素はほぼ、ありません。
だからこそ小零細企業は、
『自身の顧客にどんな価値を届けるのか』
ということをしっかり考えていただきたいのです。
自社の商品を通して、顧客が
・どんな満足が得られるのか。
・どんな不満が解消されるのか。
・どんな気持ちになれるのか。
先ほどの「自分の体験」と同じように、これを意識して、
商品を開発し、ブラッシュアップしていきましょう。
これがその会社の独自性となり、
あなたの商品が選ばれる「理由」となります。
「価値」を考えることは、あなたの商品が選ばれるための
「理由づくり」と考えていただいて、差支えありません。
『なぜお客さんはあなたの会社から商品を買う必要があるのか』
それを追求するのです。
自社商品の「価値」を作るために最初にすべきこと。
それでは自社の商品の価値を作り出すために
まず最初にどこに手を付ける必要があるのでしょう?
それは、とりもなおさず「ターゲット」です。
どんな顧客に対して、
自社の商品を届けたいのか。
これが明確でないことには、価値が定まるはずはありません。
定まるにしても、提供側の独りよがりなものになってしまったり、
どこに行こうとしているのかわからないブレブレの商品ができあがります。
まずは顧客を明確にしましょう。
そしてその顧客を喜ばせるためには、
どんな要素を自社の商品やサービスに盛り込んでいくのか。
そうやって自社の商品サービスを磨き上げていき、
あなたの会社の「商品価値」を独自性あるものへと高めていきましょう。
それが顧客から「あなたのところでないと!」と思われる、
「理由」へとつながっていくのです。