2泊3日で息子とスキーに来たけれども、結局その内の半日、ホテルで仕事をすることになってしまった、未来創造マネジメント・umayado townの谷口です。
#計画見積もりが甘すぎ。
いろんな経営者と付き合っていると、大きく成長している会社や経営者を見て「スゴいなぁ」とか「オレも頑張らないとなぁ」と言っている人をたまに見かけます(特に若い経営者)。つい最近もそんな場面に出くわしました。そしてかく言う私も10年ほど前まではそうでした。
確かに会社を大きく育てている経営者はスゴいと思いますが、それが必ずしも正義ではありませんし、正解でもありません。

適正規模というものがある。
長いこと多くの経営者と出会ったり付き合ったりしているとつくづく、「会社には適正規模ってのがあるんだなぁ」と考えさせられます。
そしてその「適正規模」を定義づけることは、事業組織を作っていくにあたり、最も大切なことの一つであるという結論に至っています。
会社の規模を決定づけるものは、たくさんあります。
まず、いきなり現実的な話しですが「経営者の器」。
「会社は経営者の器以上のものにはならない」とよく言われます。これは本当に正しくて、実際にその器程度のものに達するとそこからいろんな問題が山積して急激に会社の成長が止まります。
たまにうっかりこれを超えてしまうことがありますが、その後破綻することとなります。
経営者の性格が適正規模を決定づけることもありますが、これもある種「経営者の器」です。
そして「市場規模」。その事業内容によっては、その市場規模がとても小さいものがあります。広い意味でその事業全体の市場規模は大きくとも、その中で事業領域として行っていることがニッチであれば、それは市場規模が小さいことと同義です。
これ以外にもいろいろ要因は考えられますが、大切なことは「自己を知ること」。
自分は組織を大きくしてそのTOPに立つことが向いているのか、自社の事業は大きく育てることが可能な事業なのか。そこのところを冷静に見つめ直しましょう。
それをせずに規模感を求めて走り続けると、どこかで大きく躓くことになります。
「躓いてから考えるから」という人もいますが、それはそれで好きにしていただいたらと思います。
#突き放しているのではありません
それを「肥大化」と呼ぶ。
そもそも組織というものは売上げ規模が大きくなればそれだけで「成長」と呼ぶのではありません。
意識がめちゃ前のめりで、でも右腕みたいな人がそこにいなくて、組織をうまく作っていくのが下手だけれども営業だけはやたらできる、という経営者はなんとなく売上げ規模は大きくなっていきます。
しかしその売上げ規模を支える組織はスカスカ。こんな会社、結構あります。
これは会社の「成長」ではなく、「肥大化」と呼ばれる状態です。
組織内部を顧みずにこのまま突っ走っていると、いずれこの組織は内部崩壊して高転びに転びます。
組織は中身の充実があって始めて、成長します。
逆に中身の充実に合わせて、その分だけ会社を大きくしていく、というのが正解だと私は思っています。
伊那食品という会社の現在最高顧問をつとめている塚越寛さんという方がおられます。
私が尊敬している経営者の一人ですが、この方が提唱した「年輪経営」というのがまさにこれです。
基本はしっかりと足下を見つめながら、会社の中身が育った分に合わせて売上げを伸ばして、それによって利益を伸ばしていく。この着実な成長が安定した事業組織を作り上げていきます。
もちろんどんな事業でもこれが100%正解と言っているわけではありません。
とにかくスピード重視で事業を大きくしてポールポジションを取ってしまわないと話しにならないようなものもあるでしょう。こんな場合には内部での人の成長を待ってはおれませんから、外部からどんどん人を招聘していくことになります。
急拡大して今も安定して成長している会社は、だいたいこんな会社だと思います。
結局は内なる充実を、中で育てるか外に求めるのかという差でしかないんだろうということですね。
小さくするのは大変。
そして適正規模を大切にするもう一つの理由は、会社を大きくすることより小さくすることの方が大変だから。
ある程度まで会社を大きくしていくことはそれほど難しいことではないですよ。
先ほどお話ししたように、経営者の営業力が優れていればそれだけでどんどん「肥大化」していきますから。
逆に大きくなってしまった会社を小さくしていくことの方が大変です。
何事も始めるよりも終わらせる方が難しいように。
売上げ規模が拡大すると当然それに合わせて人は必要になりますから会社規模も大きくなっていきます。そんなときにふと立ち止まって、会社が肥大化し過ぎていることに気がついても、あとの祭り。
その規模に合わせて今から人を育成していくことだけで間に合う程度であれば幸いですが、一度スカスカに肥大化した組織内部を充実させることはなかなか大変なことです。
そしてこのように肥大化してしまった組織を上手にキレイに小さくしていくことは、もっと大変です。
そもそも小さくしていくということは今いる人に会社をやめていただくということですから、この時点で上手なわけでもありませんし、キレイにいくわけもありません。
経営者も社員も共に傷つくことなく縮小していくことは困難で、多くの場合双方がめちゃ傷つきながらぐちゃぐちゃっと小さくなります。そして「適正規模」と思えるところまで小さくなってはじめて安定し始めます。
場合によっては小さく安定することなく、そのままの勢いで破綻してしまうこともあります。
「規模を求める」ということは結果としてこんな風にいろんな人を不幸にしてしまうことにつながりかねません。
ですから、まずは自分の事業の適正規模というものを、しっかりと定義づけましょう。
その上で事業拡大を目指していくのであれば、売上げよりもまずは内部を充実していくことを考えるのがセオリーです。
そこにいる人と組織が成長した分だけしか会社は成長しません。
間違っても「今儲かっていないから、さらに規模を拡大させてカバーする」なんてことは考えないようにしましょう。
これが肥大化の始まりです。