顧客創造の全体像。

「経営の目的は、顧客の創造である」
というのは、言うまでもなく、
ピータードラッカー氏の言葉です。
当然のようでいて、とても奥深い言葉だと思います。

もちろん、その顧客の創造を通してどのような価値を提供し、
それによって 社会にどのように貢献するのか、ということが、
「顧客の創造」の先に広がっているわけですが、
どんな崇高な理念も、顧客の創造あってこそ。

それでは会社は、実際に顧客創造(培養)を
どのようにして行っていくのか、その全体像を改めて
お話ししたいと思います。

見込顧客の培養

まず第一段階は、見込顧客の培養。
顧客になる前の段階です。

顧客を獲得するためには、まず「見込顧客」を
創り出さなければいけません。
いわゆる「生活者」のうち、自社の扱う商品を購買する人を
消費者といいますが、この消費者をいかに
見込顧客まで導いていくのか。
この道筋を創る必要があります。

マーケティングの基本は、
自社の価値(商品)を届けたい人(ターゲット)にいかに正しく届けるか、
ということですから、
まずは消費者の中から、自社のターゲットとなるべき人を絞り込みます。
要は、ターゲットを定義する、ということですね。

そしてその「ターゲット」を「見込顧客」に育て上げるために、
具体的に、
どのような手段をどれだけ行うことで、
どれだけの見込顧客を獲得するのか、
それを考える必要があります。

重要なのは、
「見込顧客を何件獲得しよう」
「いくらの売上を達成しよう」
という最終ゴールに焦点を当てるのではなく、
そのために
「どんなことをどれだけ行うのか」
ここにフォーカスすることが大切です。

この局面では様々な販促やプロモーション活動を行うわけですが、
儲かっていない小零細企業は、
これが圧倒的に苦手です。
効率的に見込顧客を培養するために
考えなければいけないことはたくさんありますが、
まずは、どんな販促活動を行うのか。

これが欠けていると、見込顧客が生まれてくるわけがありません。

まずは目標(KPI)を定めて、
そのための計画を立てて実践し、
その結果を分析して、新たな目標と計画を立てる。
このPDCAサイクルを回すクセを身につけるのです。

大切なのは、
「何をするか」と、
「どれだけするか」という
この二点。

それでもって目標数値に到達しなければ、
「何を」または「どれだけ」の
どちらかまたは両方が、
間違っているか足りていないか、
ということになります。

顧客培養

事業内容によっては、
見込顧客が即顧客になってくれるものと、
見込顧客が顧客になるまでに、
さらなる段階を踏んでいく必要のあるものがあります。

不特定多数の消費者を相手にする小売業などは、
前者に属しますし、
住宅建築・リフォームなど、
特定の顧客に高額商品を販売するような商品は
後者になりがちです。

前者の場合は、顧客培養について考える必要はありませんが、
見込顧客が最終的に成約に至るまでの距離が遠い事業の場合は、
「顧客培養」ということを意識して、
いかにこの精度を高めるか、ということが大切になります。

最初に見込顧客への
①アプローチがあり、次に、
②ヒアリング、そして
③プレゼンテーションを行い、最終的に
④クロージングから成約に至る
というのが基本的なステップですが、
業種業態によってその区切り方は
様々だろうと思います。

ただ共通するのは、
それぞれのステップのどの段階でどれだけの見込み顧客がが、
次のステップにあがってくれているのか、ということです。
先ほどの例で言うと、
①を行った顧客のうち、最終的に9%が成約に至たとして、
①から②、②から③、③から④、④から成約、
これらのどの段階で
どれだけの見込顧客を取りこぼしているか、
ということです。

それを分析した結果、
①から②:80%
②から③:30%
③から④:50%
④から成約:75%
だとします。
このうち、「%の低いところ」と「%を上げやすいところ」に着目して、
改善をかけると、成約率は必然的にあがってきます。
例えばヒアリングの精度を高めて②から③の取りこぼしが70%から40%になると、
それ以外の%が変わらないとすると、最終成約率は9%から18%と、
倍になります。

これを行うためには、ちゃんとデータをとって、
その数値に基づいて分析すること。
これが大切です。

営業はセンスでもありますが、
それだけでは、センスのある人しか成果をあげることができません。
誰でもできる限りの成果をあげられるように、
ロジカルな思考に基づいた営業を行いましょう。

優良顧客培養

「顧客創造」ということになると、
顧客を獲得してそこで終わりにしてしまっている方が、
とても多いように思います。

しかし実はその先があって、それが
「優良顧客培養」です。

優良顧客とは、
自社の提供しようとしている価値を正しく理解し、
自社の提供しようとしている商品サービスを「価値あり」として求め、
何もせずとも再度購入してくださるばかりでなく、
その後伝道師としてその価値を周囲に伝播してくれる人をいいます。

これまで解説してきた顧客培養のステップを考えると、
消費者が顧客になってくださるのはとても大変なことだし、
そのためにはお金も時間も要する、
というのがとてもよくわかっていただけると思います。

しかし、優良顧客は、こちらが手間ヒマかける必要なく、
自ら再度購入してくれるし、それだけでなく、
別の見込顧客を連れてきてくれます。
さらには、そうやって連れてこられた見込顧客は
相当高い確率で顧客になってくれます。

つまり、新たな顧客を獲得するのに
手間ヒマも時間もお金もかからない、
会社にとって最高にありがたい存在なのです。

ですから、顧客を獲得したあとには、
この顧客に優良顧客になってもらうためにどのような取り組みを行うのか、
ということが、とても重要なことです。

「自社のことをとても評価してくれているが、 あまり利益をもたらしてくれない顧客」に、
「利益をもたらしてくれる顧客」となってもらうために、
具体的にどのようなことをするのか。
逆に
「多大な利益をもたらしてくれているが、自社への評価がそれほどでもない顧客」が、
「自社を高く評価してくれる顧客」になるために、
具体的にどのようなことができるのか。
この戦略を定めて、実践するのです。

最終的には、いかに多くの「優良顧客」を作り上げるか。
それが事業のキモであると考えます。
常に新規の顧客を作り続けることは、大変ですからね。

「見込み顧客培養」
「顧客培養」
「優良顧客培養」
この3つが、顧客の創造の全体像です。

それぞれについてのさらなる詳細は、
過去のブログで語っておりますので、
「見込顧客」「顧客培養」「優良顧客」
などで検索いただけたらと思います。

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