「僕たちは知らないものを恐れるようにできている。
でも少しずつ知らないものを知ってることに変えていくと、
だんだん知らないものが輝いて見えるようになる」
『図書館の大魔術師』より
人間、変化を嫌って当たり前
少し前にも紹介したと思うのですが、
私が今、気に入って継続して読んでいるマンガで、
『図書館の大魔術師』
というものがあります。
この作品自体の紹介はまた改めてやりたいなと思うのですが、
その中に、主人公による冒頭のようなセリフがあります。
そう。人間は知らないものに対しては
リスクを抱くようにできているのです。
人間も生き物ですから、基本的には
「いかにすれば、生き残る可能性が高いのか」
という理屈の中で進化してきています。
そして知らないことや新しいことというものには
近づかない方が当然生存リスクが高いわけです。
知らない生き物はどんな怖ろしいものかわかりませんし、
知らない食べ物は、本当に食べられるものかわかりませんし、
知らない場所は、行ってみたら危険な場所で
二度と帰って来れないかもしれません。
だから人間も含めて生き物は基本的に、
知らないものには近寄らない、
新しいことは試さない、
これまで通りが安全安心。
という思考のもと生きているのです。
だから社員さんが保守的で当たり前
よく経営者が何か新しいことを取り入れたり、
何か社内に変化をもたらそうとするときに、
それに対して反発をする社員さんがいます。
経営者からすれば、
やりたいこと・やらねばならないことが
なかなか前に進まなくなってしまいますから、
これはとても面倒くさい話しです。
「抵抗勢力」
などという表現をしてしまうこともあります。
しかしここで考えていただきたいことは、
前述したとおり、生き物というものは基本的に
変化を嫌うようにできているのです。
その社員さん達の反応が当たり前。
まずはこう考えておくのが、
正しいんじゃないかと思います。
ただ、そのような「抵抗勢力」が生じる理由は、
この人間の生物的な本能によるものだけではありません。
ただ単に「どうせ給料変わらないし」
ということで面倒くさがっていることもありますし、
経営者との信頼関係が崩れていて、
経営者のやることなすこと、何でも反対する
という人もいます。
人の好き嫌いということと、仕事とは
切り離して考えていただきたいところなのですが、
こういった人が一定数いる、というのが現実。
現実は現実で受け入れないいけません。
だからそのうえでどうするか、ということですよね。
事業自体は変化をする必要がありますから、
経営者としては変化は必須。
特にこれまでいろいろみんなで話し合って決めていたものが、
あるときから社長の独断専行ということになっていくと、
社員さん側から一定の反発があってしかるべきです。
自分の会社は、どのようにして物事を決める会社なのか、
そこの部分でブレないよう一貫性をもって
ことに当たっていきたいものです。
経営者の考え・思いをはっきりさせて、
そのうえで変化を起こしていくということを
継続していきましょう。
それが会社の文化であるということになれば、
変化を嫌う人がそこにいるのは会社にとって不幸なだけでなく
その人にとっても不幸なことですから、
いずれ会社にいていられなくなるだろうと思います。
そしてその方が、
その人の将来にとっていいことなんじゃないかと思います。
新しいことの楽しさを知るも、習慣
冒頭の言葉で、
「でも少しずつ知らないものを知ってることに変えていくと、
だんだん知らないものが輝いて見えるようになる」
という部分があります。
日々いろんなやりたいことが頭をもたげ、
新しいことにチャレンジしたいと常々考えている経営者の方には、
とてもよく理解してもらえるかと思います。
こういった思考の経営者からすると、
逆に、変化を嫌う人の気持ちがわかりません。
根本的な思考パターンが違うので当然でしょう。
しかし前述のような、
「面倒くさいと思う人」
「経営者に反対したがる人」
はともかくとして、
それ以外の人は、ただ、
新しいことにチャレンジする楽しみや喜びみたいなものを
知らないだけなんじゃないかと思います。
生物が生き残るためには、
基本リスクを回避することが大切、というのは先ほど触れた通りですが、
また一方で、
環境に適応していかなければその種は生き残れないのです。
そして、例えば
新しい狩り場や餌場を求めて移動することは、
リスクを伴いますが、その賭けに勝てば、
非常に豊かな生活基盤を得ることができるのです。
ですからそのように
「リスクを冒して新しきを得る」という行動も、
きっと私たちの本能に刻み込まれているはず。
実際人は、新しいことにワクワクしたりしますし、
経営者(特に創業者)はある意味、
このワクワクで生きているみたいなものです。
私もその部類の人間ですw。
もし皆さんの会社の社員さんの中に、
新しい取り組みや変化に抵抗を感じる方がおられるようであれば、
ハードルが低いところからで構わないので
新しいことに取り組んで、
何がしかの結果を得るということに
まずは、取り組んでもらいましょう。
最初はイヤイヤかもしれません。
しかしそれによって、
確実に会社内に良い変化があったり、
自分にとって嬉しいフィードバックを得ることができれば、
それが体験となって、
「変化に対するワクワク」
という本能が少しずつ目覚めてくると思うのです。
そんな意味で、
喜んで新しいことに取り組む思考というのも、習慣。
これまでそんな機会を与えてこなかったことによる弊害が
そこにあるだけなのかもしれません。
ぜひ、定期的に新しいことに取り組んで、
プラスのフィードバックを返してあげることを
会社の仕組みに織り込みましょう。
そうして自分たちの意志で変化を起こそうとしたりし始めたら
しめたものです。
人間、人に言われたことより自分で決めたことの方が、
圧倒的に高いパフォーマンスを示しますから。
そんな状態に到るまで、
習慣化されるまで、
粘り強く取り組んでいきましょう。
くれぐれも、マイナスのフィードバックをぶつけることのないように。
リスクや変化が、より自分にとって負のものであると、
より強く心に刻み込んでしまう結果になってしまいますから。