自社の「強み」を評価するためのビジネスフレームワークで、
「VRIO分析」というものがあります。
今日はその考え方について。
目次
VRIO分析とは
VRIO分析とは、
V(Value:価値)
R(Rarelity:希少性)
I(Imitability:模倣性)
O(Organiization:組織)
の頭文字をたったもので、
アメリカの経済学者によって生み出された手法です。
企業の優位性を評価するときに使用します。
企業というものは、
その会社が抱える強みによって成長するものであり、
強みによって生き残ることができます。
新しい事業を始めるとき、
ブランディングを行うとき、
改めて経営計画を見直すときなど、
自社の強み弱みを考えるいわゆる「SWOT分析」は
非常に大切なものです。
このブログで何度も触れているとおり、
強みというものはなかなか自分には見えにくいものです。
自社を卑下して、
「うちに強みなんてないですよ」
と言う経営者もいるくらいです。
しかし逆に、めちゃ数多くの強みをあげてくる方もおられます。
「強み」はその企業の事業戦略の根っことなってきますから、
これが多くあがってくるのはとても良いことなのですが、
問題は、
「果たしてそれは本当に強みなのか」
ということです。
「強み」とは事業において独自性を磨き上げるためのものであり、
事業における競争優位性を作り上げるために重要なものです。
ですから自分が「強み」と思っていたものが、競合と比較したときに
「実は強みでもなんでもない」ということであると、
それは大きな問題です。
それは強みではなく、
単なる「思い込み」であるということですね。
だから、自社の「強み」を考える中でリストアップされてきたものが
本当に強みであるのかをできるだけ客観的に評価する必要があります。
そのときにこの「VRIO分析」がとても役に立つのです。
4つの項目の簡単解説
それではVRIO分析を自社の強みの評価として使う場合の、
これら4つの項目の考え方について、少しずつ説明してまいります。
・V:Value ~価値があるのか
まずはあなたが強みとして掲げたものが
はたして本当に価値があるものなのかを考えます。
ここで考えるべき「価値」とは「経済的価値」のことを言っています。
世の中には「社会的価値」は高くても、わざわざそこにお金を払ってまで・・
というものは、結構たくさんあります。
そういったものは一般的にはボランティアとして提供されます。
ですから、その自社の経営資源が「経済的に」価値があるのか、
ということはとても大切です。
そしてそもそも「本当に価値があるのか」。
その判断が必要です。
・R:Rarelity ~希少性が高いか
希少性とは読んで字のごとく、
それがどこにでもあるものではないか、
ということです。
SWOT分析をしていてよくあるのが、
強みとしてあげられているけれども、
それがそれほど特異性のあるものではない、ということです。
誰でもできることであれば、
それは強みでも何でもありませんから、
その土俵で闘うことはできません。
しかし、
「世界中で自社(自分)だけ」
といったようなことは、まぁないでしょうし、
特異性はなくとも、そのレベルや精度が極めて高いということがあれば
それは希少性が高いと言えます。
「あるのか、ないのか」という量の問題だけでなく、
質の問題も含めてその希少性について考えましょう。
・Imitality ~模倣性はないか
どれほど価値があって希少性が高くとも、
それを世に出した瞬間にあっというまに模倣されてしまうようでは
あまり意味がありません。
ただよそがやっていない、というだけで、
自社の強みにはなりえないものです。
しかし特許で守られているなどといったことがない限り、
厳密な意味で模倣ができないものなどありません。
どんな事業も、どんな経営資源も、
それはいろんな要素で構成されているはずです。
その要素を独自に組み合わせることで、
簡単に真似できないものと考えることは可能じゃないかと思います。
・Organization ~これらを実行できる体制か
価値もあり、希少性も高く、簡単にまねもできない。
この条件をすべて高いレベルでクリアしていれば
それは「強み」と呼べるものだろうと思います。
しかし、それを実現する組織体制が整っていなければ、
単なる宝の持ち腐れ。
現状、それを事業として実行可能な組織となっているか、
考えてみましょう。
そんな意味でこれは最後の「調整」の役割を持つものであって、
自社の強みを評価するということであれば、
BRIの3つが重要となってきます。
実際のVRIO分析のやりかた、考え方。
それでは実際にVRIO分析の使いかたです。
まずは自社の強みと考えられるものを、
とにかくたくさんあげてみましょう。
先にも書きましたように、
基本自分の強みというものはなかなか挙がってきませんから、
この時点であまり卑下することなく、
VRIOのフィルターを通すことなく、
とにかく「これ、ほんとに強みか?」と自分に突っ込みを入れながらも
数書き出すことが大切です。
後々強みでなかったことがわかってしまうことよりも、
そもそも強みが挙がってこないことの方が問題ですから。
そしてそうやって挙がってきた「強みと考えられるもの」を縦に並べていき、
V・R・I・Oを横軸において、それぞれの視点で評価していきます。
「はい・いいえ」という判断よりも、
「〇・△・×」または五段階評価にしていただくのがいいかと思います。
大切なのはできるだけ客観的な視点に立ってやっていくこと。
可能であれば自社のことをある程度知ってくれている外部の人に判断してもらうと、
ベターかと思います。
「オール〇」「オール5」となることは、まずありません。
しかし全ての評価をした結果、V・R・Iの総合成績が最も高いものが
あなたの強みと考えられます。
それを基準にして、
自社の事業領域の展開やその他戦略を考えていってみましょう。
そして大切なことは、その「強み」として抽出されたものを、
評価だけして放置しないことです。
せっかくの強みですから、
それをより磨き上げるためにはどうすればいいのか考えて、
それを実行していきましょう。
より価値の高いものにするには、
より希少性の高いものにするには、
よりヒトに真似されないものにするには、
どうすればいいのか。
それを突き詰めることで自社の「強み」はさらに磨きがかけられ、
最終的に「独自性」へと昇華していくことで、
他社と全く違う土俵で闘うことができるようになるのだと思うのです。